注目されつつあるオープンダイアローグ
オープンダイアローグとはフィンランド発症の統合失調症に対する
治療的介入の手法のことです。
日本でも普及しつつあり、オープンダイアローグ・ネットワーク・ジャパン
は昨年、実践向けのトレーニングコースを開催した。専門誌の特集も続き、
今春には「対話実践のガイドライン」をホームページで公開しました。
治療法はとてもシンプルなもので、患者を批判しないという等のルールも
ありますが、毎日、一定の時間、会話するというだけの簡単なもので、
向精神薬を殆ど使わなくてもよいという。
オープンダイアローグの治療方法の流れをを箇条書きで紹介すると以下の
ような感じになります。
①依頼から24時間以内に専門家チームと患者、家族らで対話をする
②患者の症状が改善するまで毎日のように対話を続ける
③患者に関わる重要な人物なら誰でも参加可能
④患者抜きではいかなる決定もしない
⑤幻覚や妄想も詳しく語ってもらい、質問を重ねる
⑥専門家同士が患者本人の前で話し合う(リフレクティング)
⑦薬はできるだけ使わない
⑧対話の参加者は、答のない不確かな状況に耐える
⑨対話を続けることが目的で、副産物のように症状の改善がもたらされる
オープンダイアローグの効果
実際どの程度統合失調症に効果があるのか気になる方も多いかと思います。
フィンランドのラップランド地方では統合失調症患者の入院治療期間や、
服薬を必要とした患者の割合が通常の治療と比べ大幅に減少。
予後の二年間の調査でも、再発率は24%(通常治療71%)に抑えられたという。統合失調症の治療だけでなく、引きこもりや不登校、うつ病など、
多岐にわたる領域での応用が期待されています。
オープンダイアローグの課題
日本でオープンダイアローグを導入する医療機関はほとんどありません。
その大きな原因は、現段階ではまだ保険の適用外であることです。
また、仮に保険の適用を受けたとしても、今の日本の精神疾患に対する
治療は薬物治療や長期入院が主で、医療機関が薬に頼らない治療をする
ことによって、診療報酬を得る機会が少なるなるのも普及しない原因に
なると思われます。
医療機関も、あくまでもビジネスであり、利益を出せなければ受診体制を維持
出来なくなります。
オープンダイアローグを実施することで疾患によっては診療報酬がつかないか、
ついても低いため、どうしても医療機関が敬遠しがちになります。
しかしながら患者側の立場に立てば、治療方法の選択肢は多ければ多いほど
良いの言うまでもなく、国や医療機関の今後の対応に期待したいところです。
引用サイト:http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201805/CK2018050802000196.html